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命を吹き込まれた僕
僕を見て少女は笑った
何かおもしろいことしたかな?
すると
少女は小さな手で僕を握った
その握った手には汗が
それでも少女は
僕を離さなかった
僕は暑くないのかと思ったけど
離さないことが
うれしかった
僕はそのまま
空に
身を任せた
突風が吹く
風が僕に襲い掛かる
遊んでいるのか
邪魔をしてるのか
淋しいのか
風が叫び
少女と僕を
引き裂いた
僕はどうすることも
できなかった
ただ
上へ上へと
漂っていく
少女の泣き声が
聞こえなくなる
遠い世界へと
ごめんね
僕はそう呟いたが
いたずらなのか
風がその言葉を
掻き消した
これから
どこへ行くのか
僕も
少女も
風も
知らない
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