†心不全†

2/2
前へ
/16ページ
次へ
私15歳。  初めて田舎でのお通夜に身内として出席した。   …トミ子ばぁちゃん…… 独り暮らしのお祖母ちゃんの姉は、布団の上で…死んでいたらしい…。……急性心不全……。 遺体の解剖と友引が重なり…二日後の夜に通夜となった。田舎の通夜は、当たり前のように自宅で行われる。独り暮らしの家でも、昔の家だから襖を開ければ玄関から奥の部屋まで三間…十八畳の大部屋になる。南側は全てガラス戸で廊下。そして、縁側を降りると庭がある。………庭の向日葵には、種が出来ていた。     大往生😌   そう言って、オッサンどもは笑って話してる。オバサン連中は、二軒隣の庭で炊き出しと世間話に忙しそうだ。自然に美樹はオッサンどもにお酌してまわっては、トミ子ばぁちゃんに線香を絶やさぬようにとあげていた。 夜中を過ぎると身内だけになり、交替して寝なさいと言われるが寝れない。線香の匂いが落ち着いて…祭壇が珍しくて…ずぅ~と眺めてた。 夜が明けだした時、意味も無く…トミ子ばぁちゃんの顔をみてみた。    ……………😓   入れ歯をしてないシワシワの口から、泡がブクブクと湧き出ていた。 トミ子ばぁちゃんが生きてるのかと顔を近付けてみると、凄い臭いがした。初めて嗅ぐその臭いは、例えようがなく…。 それが私にとって初めての『死臭』だった。   村に一軒の葬儀屋さんは、暑いからねぇ😃って、笑いながら口元を拭き取り…脱脂綿を口に詰め、ドライアイスを追加した。     トミ子ばぁちゃんの遺体は、ただの【抜け殻】にしか思えなくなってしまった。       トミ子ばぁちゃんの向日葵の種を翌年に植えたが、芽はでなかった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

652人が本棚に入れています
本棚に追加