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ある日、俺はボール拾いをしていると、そっと誰かが手を貸してくれた。
その人こそ中日ドラゴンズの大エースとなった山口投手だった。
彼は昔から野球センスがあり、とても努力家で、チームのエースで4番だった。
俺は先輩に礼を言い、その場を立ち去った。
しばらくして俺が素振りをしていると、山口先輩が、俺の球を打ってみろと言ってきた。俺は戸惑ったがバッターボックスに入った。1球目。先輩の全力投球には思わず手が出なかった。それもそのはず。この打席が生まれて初めての打席だった。
2球目。俺はバットを振った。
「カン」と鈍い音がなった。俺の手はしびれて感覚がない。ボールはコロコロと先輩の前に転がった。
バットに当たったのだ。
「やっぱり俺の思った通りだ」
山口先輩が自信満々に
「お前は野球センスがある」
その言葉は今でも忘れられない。
その翌週から山口先輩は熱心に俺を指導してくれた。
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