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「優希は……優希は大丈夫なんですか!?」
実は、小さな期待を抱えて医者に聞く。
「彼女は……ガンです。」
医者は俯きながら言う。
「ガ……ガン?」
実は突然の医者の言葉に、言葉が見つからず、それを言った後に黙ってしまった。
「持って1ヶ月くらいかと……。」
「…………。」
後数ヶ月で優希が俺の隣から消える?
信じられ訳無い。
今までずっと俺の隣で笑ってたんだから。
これからもずっと一緒の筈なのに……。
実の目から涙がこぼれ落ちた。
医者は心苦しそうに俯く。
実は力無く立ち上がり、優希の病室に向かった。
(優希はいつだって傍にいてくれた……いつだって俺に笑顔を見せてくれた。
そんな優希が……ガンだなんて……。)
実は病室のドアを開ける。
「実………?」
優希が少し辛そうに言う。
「優希……。」
(……優希の笑顔が今ここにあるじゃないか……なのになんで笑えないんだよ……なのになんで涙が溢れるんだよ……。)
「実……どうしたの……?
なんで泣いてるの?」
優希は辛そうに起き上がろうとする。
「い…良いよそのままで……あんまり無理すんな。」
実は無理に笑顔を作った。
「良かった。」
「え……?」
「実……笑った。」
「優希……。」
優希は嬉しそうに笑った。
実はそれを見るのが苦しくて、ただ、ただ俯いている事しか出来なかった。
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