M33T

31/36
前へ
/260ページ
次へ
つまり、頭のよいルークはそれだけを見て、ヘンリーを首謀者につなげられたということだ。 スパイ疑惑のあったコックと、ふと現れたナタリー。 その二人が外部と接触していた。 ヘンリーがその首謀者だったとすれば、ヘンリーがナタリーを「側においておきたい」と言ったこともすんなりと受け入れられる。 ルークは頭がよすぎた。 一つの抽象的な物から、深く考えすぎたのだ。 ともすれば、そう仕組んだナタリーはルークよりも頭がいいということになる。 「そうか…はぁはぁ…ふぅ…お前はすごいな」 「コックなんて、少し体を差し出せばすぐにホイホイ付いて来たわ。一晩寝れば、教団のことをペラペラと喋ってくれたし。アンタのこともね!」 ヘンリーは瞑っていた目をわずかに開いて言った。 「そんなに簡単に体を売るな!お前はそんなことをしては駄目だ」 その強い語気に、ナタリーは一瞬たじろいだ。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2040人が本棚に入れています
本棚に追加