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うつ伏せに倒れた状態から、ヘンリーは仰向けに体制を変え、近付いてくるナタリーを見た。
「悪いけど…」
ナタリーはヘンリーの額に銃口を向けた。
ついさっき、ヘンリーがルークにした状況だ。
「今回、教団を潰そうとした首謀者はあたし。もっとも、あたしの目的は【死の腕】を潰すことではなく、アンタを殺すことだったんだけど」
喋り方も顔つきも、いつものナタリーと違って見えた。
「…なんだ。ちゃんと喋れるじゃないか。そうしてた方が、年相応に見えるな」
ヘンリーは、ナタリーの言うことは無視して突拍子もない言葉を放った。
「理由は聞かないの?アンタを殺そうとしたことや、なぜルークがアンタを首謀者と思ったのか」
ナタリーはいつもの笑顔から打って変わって、無表情な冷めた顔つきでヘンリーを見下ろしていた。
「…別にどちらでもいい。俺が生きてる内に終わるのなら、話してくれ。お前の声を死ぬまで聞いていたい…」
ヘンリーは目を瞑った。
腹部を負傷しているせいか、段々と呼吸が荒くなっていく。
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