エルドラド

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その日の太陽は一段とまばゆい光を放っていた。 私は数千年に一度現れるという幻の大地『エルドラド』にたどり着くため、日々研究室に篭っていた。 だがそれは伝説でしかなく実際に目にした者は誰もいない。 だからこそ幻の大地と呼ばれている。 そして私は幻の大地の存在を信じ続けている。 長年の研究の成果が正しければ今週末の日食の日、必ず『エルドラド』は現れる。 私の心は高鳴っていた。 そう思い続けた日食の日。 私の研究所の窓から見える海の水平線上には予想通り、「エルドラド」が怪しくも雄大に横たわっていた。 「あれか、、、」 何の前触れもないあたかも昔から存在しているように馴染んだ「エルドラド」の登場であったが、私は夢にまでに見た幻の大地の存在が現実のものになった喜びと感動に打ち震え、この瞬間を記憶に留めるためなら瞬きするのも惜しいほどであった。 そのうちに私は、 『町から眺めているだけではだめだ』 そして、 『あの大地を踏み締めたい』 と思った。 その大地を見失わないうちに早く行かなければならない。 私は早々に支度をし、船を借り、大地へ向けて船を急がせた。 しかしここからあの島までの距離はとてつもなく長く、日食が終わりかけていたころ。 目の前にあるはずの『あの島』が無い。 否、消えかかって、さらに遠くの水平線が透き通って見える。 そしてたどり着くまえに伝説の大地はとうとうなくなってしまった。 このまま待つことも当然考えたが、食料の問題や次の日食までの年月を考えるとかえらざるをえなかった。 しかたなく私は町に戻ることにした。
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