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いままであの島を見つけた数々の研究者達にも、きっと同じことがあったのだろう。
そして自分達の命で間に合わなかった事を文献に託し、それを私が続けている。
しかし私も同じ結果になってしまった。
いつまでも触れる事すら叶わない未知なる島はとうとう私の手にもとどくことはなかった。
そして私にもわかった。
この島は幾千年の時を越えた今であっても、この先何千年経ったとしても、誰の手にも握られることはないと。
私は研究を捨て、次の日食にも出向かないと決めた。
その日の夜、私は航海の疲れから、すぐに深い深い眠りに落ちた。
「ここは何処だ。」
夢の中で私があても無くさ迷っている。
あるきまわっていると暗闇から幾つもの声が語りかけて来た。
『お前は我ら幾千年続く果てしなき夢と希望を一夜のうちに消してしまうのか!』
私はそれが過去の研究者であると一瞬で気がついた。
「すまない、だがこの町からでは遠すぎるのだ。たどり着く前にあの島は消えてしまう」
『エルドラドの出現の法則は日食だけでは無い。今それを探し出すことが出来るのはお前だけだ』
「・・・。」
『探してくれるか?』
「どうやって探せばいいんだ。」
『お前はその法則の近くまで既に来ているはずだ』
「おしえてくれないのか」
『これはお前の運命。お前の定めを我ら亡霊が変えるわけにはいかないのだ。だが一つだけ教えてやろう。エルドラドは闇になりし時のある光で現れる。』
亡霊がそういい終えると、私は目覚めた。
「そうか、月だったのか!」
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