Heart.2

7/17
前へ
/380ページ
次へ
授業終了の挨拶が終わると同時に、私は廊下に出て、震える手で携帯を耳にあてた。 プルルルル プルルルル…… 4コールほど鳴り、機械的な音が止むと、元気溢れる子供達の声がする。 「あ、のぉ…」 『………』 沈黙は殺意、とはよく言ったものだ。 背中には、好ましくない汗が伝う。 「も、もしもしー」 『…………』 「は、隼人様?」 様付けなんて釈だけど、それ以外損ねたヤツの機嫌を戻す方法が思い浮かばなかった。 『………おい、お前』 恐ろしいほど低い声が耳に響きわたる。 「はいっ!すみません!!電話切った後もう一回寝ちゃって、起きたら7:30で、約束の事すっかり忘れて1人で学校来ちゃいました!!!」 間髪いれずに勢いよく謝罪の言葉と、どうしようもない事実という名の言い訳をぶちかます。そしてしばしの沈黙。 「……あれ?」 『………』 「………」 『……じゃあ、今学校にいるんだな?』 「はい!申し訳ありません!」 奴の言葉に、素直に謝罪する。 無理矢理とはいえ約束を承諾し、それを破ってしまったのは他でもない私。それに、周りの雑音からして、結城はまだ公園にいるみたいだし、さすがに申し訳なく思う。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27575人が本棚に入れています
本棚に追加