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授業終了の挨拶が終わると同時に、私は廊下に出て、震える手で携帯を耳にあてた。
プルルルル プルルルル……
4コールほど鳴り、機械的な音が止むと、元気溢れる子供達の声がする。
「あ、のぉ…」
『………』
沈黙は殺意、とはよく言ったものだ。
背中には、好ましくない汗が伝う。
「も、もしもしー」
『…………』
「は、隼人様?」
様付けなんて釈だけど、それ以外損ねたヤツの機嫌を戻す方法が思い浮かばなかった。
『………おい、お前』
恐ろしいほど低い声が耳に響きわたる。
「はいっ!すみません!!電話切った後もう一回寝ちゃって、起きたら7:30で、約束の事すっかり忘れて1人で学校来ちゃいました!!!」
間髪いれずに勢いよく謝罪の言葉と、どうしようもない事実という名の言い訳をぶちかます。そしてしばしの沈黙。
「……あれ?」
『………』
「………」
『……じゃあ、今学校にいるんだな?』
「はい!申し訳ありません!」
奴の言葉に、素直に謝罪する。
無理矢理とはいえ約束を承諾し、それを破ってしまったのは他でもない私。それに、周りの雑音からして、結城はまだ公園にいるみたいだし、さすがに申し訳なく思う。
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