Heart.2

9/17
前へ
/380ページ
次へ
「はぁ」 ため息をつきながら教室のドアを開けると同時に、2時間目の始業のチャイムが鳴った。ガタガタと席に戻り始めるクラスメートに混じり、私も自分の座席に向かう。 ふと、舞の視線が私に向けられていることに気付く。 …まずい… 舞の好奇に満ちた眼差しを見て、素直にそう思う。 ああ見えてあの子は私より数倍乙女ちゃんしてて、恋だの愛だのには目がない。 芸能人のスキャンダルから学年のカップル、教師達の不倫や浮気事情など…。その手の話題に関しては、幅広いジャンルに首を突っ込む雑食女…。   きっと昼休みにしつこく詮索される。その状況を想像するだけでため息がもれた。 どうにか理由をつけて切り抜けるしかない。 でも… 私は、あの上里舞に嘘を突き通せたためしがないのだ。 不安だけが募る中、訪れるだろうその瞬間を、私はただひたすら待った。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27575人が本棚に入れています
本棚に追加