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「はぁ」
ため息をつきながら教室のドアを開けると同時に、2時間目の始業のチャイムが鳴った。ガタガタと席に戻り始めるクラスメートに混じり、私も自分の座席に向かう。
ふと、舞の視線が私に向けられていることに気付く。
…まずい…
舞の好奇に満ちた眼差しを見て、素直にそう思う。
ああ見えてあの子は私より数倍乙女ちゃんしてて、恋だの愛だのには目がない。
芸能人のスキャンダルから学年のカップル、教師達の不倫や浮気事情など…。その手の話題に関しては、幅広いジャンルに首を突っ込む雑食女…。
きっと昼休みにしつこく詮索される。その状況を想像するだけでため息がもれた。
どうにか理由をつけて切り抜けるしかない。
でも…
私は、あの上里舞に嘘を突き通せたためしがないのだ。
不安だけが募る中、訪れるだろうその瞬間を、私はただひたすら待った。
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