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「由香里」
「ん?」
振り向いた舞は綺麗に笑ったまま私の名前を呼ぶ。
その声はさっきまでのおふざけムードたっぷりな感じとはうって変わって、落ち着いた透き通るような綺麗な声だった。
「…あたしたちも、これでずっと一緒ね?」
「ぇ…?」
「だって4人で見れたんだもん。この青い花」
照れ臭そうに舞は花に視線を戻す。その言葉を聞いて、お風呂での会話を思い出した。
『あたしは何十年先もこうやって4人で旅行とか来れる関係でいたいと思ってるからさ』
その言葉の意味を改めて噛み締めて、たまらなく嬉しい気持ちになる。
会話を聞いていた裕也くんも隼人も一瞬目を見開いたけど、2人とも顔を見合わせてゆっくりと笑みを浮かべた。
「裕也とずっと一緒かー。
ま、悪くはねぇな」
「隼人はちょっと面倒くさいけどな」
「何言ってんだよ!照れてんなっての」
「照れてねぇって」
そう言いながら隼人が楽しそうに裕也くんの隣に腰をおろす。私もその隣に座った。
「ねぇ。また旅行来ようよ」
「うん!」
「そうだな」
「俺、次は車で来たい」
「確かに。移動めんどくさかったし」
「よし!車は次回までに裕也が用意するって!」
「何が『よし!』だよ?全然よくねぇだろ」
青い花を眺めながら4人肩を並べてふざけあう空気は、ほんの少しだけくすぐったくて、ものすごく温かかった。この心地好さに終止符をうつのが嫌で、誰もその場を後にしようとはしない。
長い長い夜。
こんなに笑った事無いんじゃないかってくらい笑いあって、こんなに話したことないんじゃないかってくらいたくさんたくさん話をした。
おかげで次の日は、みんな揃って寝坊しちゃったのは言うまでもない話。
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