Heart.1

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「お前…俺の女になれ」 「え~~~~~!?」 クラスの連中の叫び声で状況を理解する。 私はいたって冷静で、ざわつくギャラリーを余所に、最もな一言を。     「あのー、人違いじゃないですか?」 「んな訳ねーだろ」 イタっ 軽く頭を小突かれる。 大体私あんたの事知らないし、そんな事言われる覚えはない。 それにしても、随分な告白だな…。 命令ってどーよ。 「ねぇ…由香里」 「何?」 「この人……………結城隼人だよ。学校一のモテ男くん」 「…え゛っ」 これが噂の!? 見るのは初めてだけど、私みたいな疎い女でも知ってるくらい有名だ。 冷静になってみると、周りの女子からの視線が妙に痛い気もする。 「ちょっと来て!!」 「っおい!!」 私は即座に結城の腕を掴むと、教室を飛び出した。 さすがに居心地が悪すぎる。 なんでこんな厄介な奴に目をつけられてしまったのか……。 廊下を歩きながらそればかりが頭を回った。 そして冒頭に戻るわけだけど…… 「はぁ…」 「……人の顔見てため息つくなよ。失礼な奴だな」 フェンスに肘をつきながら、結城が私から目を反らした。
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