27574人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前…俺の女になれ」
「え~~~~~!?」
クラスの連中の叫び声で状況を理解する。
私はいたって冷静で、ざわつくギャラリーを余所に、最もな一言を。
「あのー、人違いじゃないですか?」
「んな訳ねーだろ」
イタっ
軽く頭を小突かれる。
大体私あんたの事知らないし、そんな事言われる覚えはない。
それにしても、随分な告白だな…。
命令ってどーよ。
「ねぇ…由香里」
「何?」
「この人……………結城隼人だよ。学校一のモテ男くん」
「…え゛っ」
これが噂の!?
見るのは初めてだけど、私みたいな疎い女でも知ってるくらい有名だ。
冷静になってみると、周りの女子からの視線が妙に痛い気もする。
「ちょっと来て!!」
「っおい!!」
私は即座に結城の腕を掴むと、教室を飛び出した。
さすがに居心地が悪すぎる。
なんでこんな厄介な奴に目をつけられてしまったのか……。
廊下を歩きながらそればかりが頭を回った。
そして冒頭に戻るわけだけど……
「はぁ…」
「……人の顔見てため息つくなよ。失礼な奴だな」
フェンスに肘をつきながら、結城が私から目を反らした。
最初のコメントを投稿しよう!