第零章†ハジマリ、夢、何時もの朝†

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ケータイからなる音楽でと目蓋を開ける 「またあの夢か」 軽く額を押さえながら自分には身に覚えの無い夢を思い出しながら呟く ふと、かなり騒々しく相当な早さで自室に近づいてくる音が耳に入る 「チッ、朝から騒々しい」 機嫌が悪そうに呟きドアを空けるためにベットから立ち上がった瞬間 乱暴にドアが開く 「流星脚!」 どこの格闘ゲームの技だよとか言う突っ込みが入りそうな技が飛び出した ゴッ、と鈍い音が鳴り響く 「ジジィ!テメェ毎朝毎朝俺に飛び蹴を食らわせに来るな!!」 ジジィそう呼ばれるにはいささか早いまだオッサンが床に腹を押さえながらたおれている 「乗りが悪いぞ護」 そして護と呼ばれた少年それがこの話の主人公〈神崎護[かんざきまもる]〉である  「カウンター食らうのがやなら攻撃しに来るな」 オッサンは〈白爪宗谷[しらつめそうや]〉護の保護者である 「まぁいいわさっさと準備しろ早く境内の掃除終わらせんと学校遅刻するぞ」 「いいのかよ、仕方ない、してくるからからそこどけ」 やけに騒がしいおっさんが神主の白爪神社これが現在、護がすんでいる家である . . ざぁざぁ 石畳を箒ではいていると 「護~時間だ飯食って学校いけィ」 「わかった」 間延びした宗谷の声で朝の境内の掃除は終了する、これが日課だ ‡‡‡ 朝食も食べ終え、まだ人が少ないいつもの道を歩いていると 「「おはよう!護」」 二人の声が同時に掛けられる 「おはよう蒼、紅」 挨拶をしてきた男女の名前は男の方は龍鳳蒼[りゅうほうあおい]、女の方は龍鳳紅[――くれない]一卵性の双子で二人の顔は瓜二つだ 「今日も早いね」 蒼は穏和そうな笑みを浮かべ言う 「おまえらこそ」 朝は何時もこのやり取りから始まる 「また宗谷サンが技、仕掛けて起こしに来たの?」 「そうなんだよ」 「護は大変ね」 クスリと紅が笑う 「流石に毎日はヤだなぁ」 蒼も笑う 「まったくその通りだよ」 「「聞いてるこっちは面白い」」 声を合わせて二人が言う 「お前等……」 何の変りもなく三人はいつものように学校に向かってゆく 何も変らないはずだった、少なくとも日常が引っ繰り返る事などは何もないはずだった……
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