第壱章†何時もの朝、変わる日常†

2/4
3618人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
彼らが通っている高校は私立伯蓮高校、“慈愛”“協調”“勤勉”を校訓としソレがしっかりと浸透している学校だ、交通の便もバス、電車など充実しているし、校舎裏手には伯蓮山と言う山もあり自然にも満ちている、何より平和で静かな所だ 何時もと何かは違う雰囲気が辺りを包んでいた 「まだ、だいぶ早いのにずいぶん人がいるようだね」 蒼が言う通り校門より少し向こうに人だかりができていた 「警察も来てるみたい」 紅が言う、人混みでよく見えないが確かに警察がいる、まったく朝から物騒な 「っつ!!?」 一瞬、脳裏に走る嫌な感覚、そして頭をよぎる化け物の姿…… 「護、どうかしたか?顔色が悪い」 蒼の声が俺を現実に引き戻す、今はソレを素直にありがたいと思った 「いや、なんでもないさ……早く教室に行こう」 俺は嫌な感覚から逃げるように校門をくぐった 「「え、あ、待ってよ」」 どこまで息が合ってんだと思いながら二人も俺を追うように校門をくぐり三人は教室へ向かった. . . 教室では件(くだん)の事件で持ちきりのだった、いろんな憶測が飛びかうなか皆が誰一人例外なく言うのは『人が殺された』と言うことだった 「物騒だ、人殺しだとよ」 「だよね私怖いよ」 「この辺で事件なんて何年もなかったのにね」 そう、少なくとも俺がこっちに来てからは何もなかった ガラリと教室のドアが開いた 「ほら静かにしろHR始めるぞ」 その場の空気をぶっ飛ばすような元気な声が響いた担任の三国瞬[みくにしゅん]先生だ 「騒がしいのはあれか?朝の事件のことか」 騒ぎの理由を察したのか先生が口を開く 「そのことで話がある、実はな人が死んだ、殺人らしい身元はわかってないそうだ、犯人も不明、まだ捕まってない、だから今日は全校集会をやって下校だ」 皆は驚いているようだった、この学校で授業が無くなる事はかなり珍しいからだ、そこに先生はまた口を開いた 「ココだけの話、殺され方はひどかったらしい強い力で引き千切られたようだったと、聞いた」 その発言に教室は騒めいた皆は口々に「マジかよ」とか「信じられない」と言っている……護以外は、その様子に蒼は 「どうしたの護?思い詰めた顔して」 「いや、なんでもねえ、少し驚いただけだ」 そう、呟きと煮え切らない顔をしつつも前を向く蒼、なんだかんだ言ってるうちにHRも終わり体育館へと移動が始まった
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!