生まれる

2/3
前へ
/21ページ
次へ
どんなふうに感じてたんだろう 俺が生まれる瞬間の親の気持ちは… この世に誕生したその時に、歓喜の声をあげたのだろうか? 今となっては聞く事も出来ない 両親は1ヶ月程前に交通事故であっさりと天国へと旅立った 飲酒運転の対向車と正面衝突 ほぼ即死だったそうだ 相手も大怪我をしたらしいが、3日くらい苦しんだあげく、両親の居る所へと行ってしまった 残されたのはその家族のみ 相手はまだ20才の男で、親にしてみれば複雑な心境だっただろう うちへ謝りに来たが涙目で言葉につまり何も言えなかったようだ 保険は適用されずに賠償責任は全て親がもつ事になった 俺はそんな事はどうでもよかったが、ポツリ1人になってしまった虚しさだけがいつもつきまとっている 実際、親とは仲が悪かった いつも喧嘩ばかりしてたような気がする 死ねばいいのに… そんな事を言ってたのが本当になってしまい、少し後悔している 俺は18才 今年高校を卒業してから勤めはじめた硝子工場に通っている 給料は月12万くらい とても1人で暮らしていける金額じゃない 親と同居しなければ食べていけない金額だった なのに… 無理矢理1人に追いやられてしまうなんて…
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

457人が本棚に入れています
本棚に追加