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とりあえず事務所に帰ろうと思ったが、何故か足が動かなかった。いや、動けなかった。
目の前で人が飛び込んだんだ。トラックのバンパーは血で染まっていたし、そこらじゅう男性の肉の塊が飛び散っていた。
即死だろうか?
何か恐ろしいものでも見たように目が見開きになっていた。
タバコをつける手も心なしか震えていた。冷静を保つのに精一杯で、タバコをふかしながらビルの間から覗く夕陽を眺めていた。
真っ赤で綺麗な光だった。
約一時間立ち尽くし、僕はこの依頼を受けた事を心底後悔した。
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