聖夜。

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聖夜。

明日は聖夜だ。 サンタさんとやらが家に入って、子供達にプレゼントをあげる、夢の様な一日。 だけれど、生まれてこの方サンタさんなんて来たことは無い。 来ていない子供の方が多いのではないか? 私はもう大人だ。 大人になってもサンタさんが来ない空しさは、自分がよく知っている。 こんな大人を増やしていいのだろうか? 私は決めた。 ――サンタさんになってやろう。 子供達に、夢と希望を与えてやるんだ。 私はまず、通帳から大金を卸した。 それでも食っていけるだけの金があるのは自慢だ。 そして、街中の玩具屋で沢山玩具を買った。 赤い服ととんがった赤い布帽子、付け髭を買う。 最後に、パソコンで近所の子供達のデータを調べた。 これは、裏に行けば楽勝だ。 達成感しか感じていなかった。 私はサンタだ。 言い表せない興奮が身体の中を廻っていた。 次の日。 聖夜に、ニュースが世界を駆け巡った。 『本日未明、〇〇市××町付近で赤い服と帽子、付け髭で顔を隠した男が突然煙突から侵入、下にあった焚き火で全身火傷を負い死亡しました。動機は一切不明、警察では身元の確認を急いでいます――』
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