38人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
聖夜。
明日は聖夜だ。
サンタさんとやらが家に入って、子供達にプレゼントをあげる、夢の様な一日。
だけれど、生まれてこの方サンタさんなんて来たことは無い。
来ていない子供の方が多いのではないか?
私はもう大人だ。
大人になってもサンタさんが来ない空しさは、自分がよく知っている。
こんな大人を増やしていいのだろうか?
私は決めた。
――サンタさんになってやろう。
子供達に、夢と希望を与えてやるんだ。
私はまず、通帳から大金を卸した。
それでも食っていけるだけの金があるのは自慢だ。
そして、街中の玩具屋で沢山玩具を買った。
赤い服ととんがった赤い布帽子、付け髭を買う。
最後に、パソコンで近所の子供達のデータを調べた。
これは、裏に行けば楽勝だ。
達成感しか感じていなかった。
私はサンタだ。
言い表せない興奮が身体の中を廻っていた。
次の日。
聖夜に、ニュースが世界を駆け巡った。
『本日未明、〇〇市××町付近で赤い服と帽子、付け髭で顔を隠した男が突然煙突から侵入、下にあった焚き火で全身火傷を負い死亡しました。動機は一切不明、警察では身元の確認を急いでいます――』
最初のコメントを投稿しよう!