当たらずとも遠からず

2/8
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 所詮人の一生なんてちっぽけで、大して他人と変わらない人生を送るもんだ。  電気を発明した偉大なる発明家トーマス・エジソンも、果敢に敵国と戦い自国の為に己の全てを尽くした英雄ジャンヌ・ダルクも、20世紀以降で最も有名な画家であるパブロ・ピカソも、皆死亡率100パーセント。誕生すると同時に死へと闊歩している。歩んでゆく道のり自体は違えど、スタート地点と終着点は同じなのだ。行き着くところ皆同じだと思うと、俺は途端につまらないと感じてしまう。死んだとき、自分には何が残るのだろう。天国や地獄でもないかぎり、死は生まれたときと同じ「無」に還ると、俺は思う。  それでも、己の人生を全う出来た奴等は幸福なほうだ。若くして命をなくしたツタンカーメンや、日の目も見ること叶わずに流産された子供なんて報われないにもほどがある。前日はあんなに元気だったのに今日にはポックリ、なんていうのはよくある話で、“死”に対する理解も覚悟も何もできないまま残された遺族も、また哀れで報われない。 そうした何時襲い掛かって来るか分からない死の恐怖に震え脅えながら、希望や夢に縋(すが)ってヒトは生きてる。 本当は怖いのに笑って誤魔化す。  そんなことをしながら恐怖や苦痛を全部まとめてオブラートに包み込んで、顔を背け無理やり希望や夢に眼を向ける。 それは皆一緒。  つーことは、ヒト科である俺にも夢くらいはある。 5割の実力と4割の運、1割の恩恵さえあれば実現できるくだらない夢。  まぁ今のところ、実現確率0パーセント、見込みなしだが。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!