当たらずとも遠からず

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 ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ―――  アラームの音と、バイブレーションの振動により眼が覚めた。  昼休み終了5分前。いつもこの時間に携帯のアラームをセットしている。 「よっと」  老人のように腰を上げると、両手を挙げ伸びをした。関節がぽきぽきと音を立てる。 「さてと、あと3時間頑張りますか」  俺は弁当を提げ、教室へと引き返した。 「おい秋人」  教室に戻ると司が声を掛けてきた。 「ん?なんかあった?」 「綾崎先輩が探してたぞ」 「あっそう」 「あっそうって・・・」  司が俺を嗜(たしな)めるような表情をした。 「いいんだよ別に。どうせこき使われるだけだから」  俺はやれやれという風に首を振ると、窓際の席へと向かう。  開け放たれた窓からグラウンドを疾走する女子生徒をぼんやりと見つつ、古文担当のハゲ教師の話を聞くともなしに聞いていた。 ここは2階。景色はいいのだが、夏の暑さが教室全体のやる気をなくさせる。身体にべったりとした汗が纏わりつき気持ち悪い。 ぼ―――。  女子生徒数人が体操をしている。東雲高は現代に屈強として残るブルマ適用校だ。今時時代錯誤もいいとこだが、もちろん男子生徒からのブーイングはない。女子生徒の中にちらほらと抗議の声が上がるが、男子によってうまく言い包められてきた。  一人の女子生徒に目が留まる。  ブルマから伸びる長い足がなんとも・・・・・・ではなく、なかなかスタイルが・・・・・・ごっほんごっほん。  でもどこか見覚えがあるのは気のせいか?  刹那、眺めていた女子生徒と目が合った。  途端に俺は、パブロフの犬のようにほぼ条件反射と言っていいほどの勢いで顔を逸らす。みるみると蒼くなり、脂汗が頬を伝う。 ――やってしまった・・・。  授業を受ける気など毛頭なくなってしまった俺は、へなへなと机に平伏すのだった。
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