高梨社長の言葉

5/11
前へ
/404ページ
次へ
クスクス笑いながらお肉を少しずつ食べる高梨さん。そんな僕を横目に見ながら、更に質問をした。 「本当に美味しいわ。あっ、それと福部君は冬美のことも好きなんでしょう?」 「へっ?」 この人は立て続けに、なんて質問をするんだ。僕は困惑した。 「まあ、黙ってても答えは顔に出ちゃってるから何も言わなくていいけど」 何も言わなくていいって? 言ってる事が分からない。 「私ね、突然質問して相手の表情を見るのが好きなのよ。特に困った顔がね」 どうも、この人は別の意味で苦手だ。 「さて、福部君の気持ちも分かったとこで、本題に入りましょうか」 本題? 今度は何を話すんだ? 僕は構えた。 「本気で吉川さんのことが好きじゃないなら、今すぐに別れなさい」 「はいっ?」 高梨さんの思いもよらぬ一言に僕の顔はマヌケ顔になっていた。
/404ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70886人が本棚に入れています
本棚に追加