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「だから、本気で考えて欲しいの」
「はい」
「吉川さんのこと、本当に好きなのかしら?」
「は、はい」
「吉川さんの今後の才能を伸ばすには福部君の協力も必要だってこと。守っていける? 理解してあげられる?」
高梨さんは真面目な顔で言った。
「吉川さんを動かしている原動力は福部君なの。デザイナーになりたいって思いを動かしたのは福部君なのよ」
「はい」
「だから、福部君には覚悟を決めてもらいたいの。吉川さんのために」
佑美のために。佑美の将来……僕はそこまで考えていなかった。
「もし、福部君が軽い気持ちで付き合って別れたとしたら……」
「別れたら?」
「吉川さん、元の世界に戻るわね」
高梨さんの一言は僕の胸にズンッときた。
「でも、それは吉川さんの人生だから、私にはどうすることもできないし、冷たく言ってしまえば関係ないことだけど」
僕の本当の気持ち? あの時は無理矢理に告白させられたけど、僕の本当の気持ちはどうなんだ?
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