小説家の夢

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--深夜。佑美が寝静まったのを確認した僕は、段ボールの中から一冊のノートを取り出した。 📖僕の学校の怪談の謎📖 ノートの表紙にはそう書かれていた。 僕の目指していた夢。 それは、小説家になることだった。 忘れていた学生時代の僕の夢……しかし、仕事を始めてからは、書きたくても時間がなかった。 でも、どこかで諦めきれなかった自分がいたのかもしれない。 だから、この《未完成》の作品原稿をいつも荷物の中に入れていた。 僕は佑美の夢が一歩一歩近付いてくる喜びと羨ましさから〈もう一度小説を書こう〉そう思った。 ノートの紙がセピア色に褪せている。それはそうだろう。高校生、いや中学三年の時に書いたものだから。 僕は寝るのも忘れて昔、自分が書いた文章を読んだ。
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