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結局、僕は《生死に関わる問題》が気になって安藤様とお茶を飲むことになった。
「安藤様も、こんな店に来るんですね」
安藤様が案内してくれたのは、ごく普通の喫茶店だった。
「まあ失礼ね。私だって一般庶民の店に来るわよ」
〈一般庶民? それって嫌味か!〉
僕はそう言いたくなるのをグッと堪えた。
「ところで、ぼうやは出版社に何を送ろうとしてたの?」
「えっ?」
「その封筒に当田出版って書いてあるから」
安藤様は目敏く僕の持っていた封筒をチェックしたようだ。
「いや、童話を書いたから応募しようと思いまして……」
「そうなの」
安藤様は、何かを考えているようだった。
「確か当田出版社は、自費出版の会社だったと思うのよ」
「自費出版?」
僕が初めて聞く言葉だ。
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