第3夜 中学時代…別れ

4/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
『昨日はごめんな。』 「え、なんで? …体、あるんだ…。」 『今までは、体を見せたく無かったし、知られたく無かったからな。だけど、もうお別れやから』 彼が私をそっと抱きしめた。 ミズカキのある手のひらを私はじっとみる。 「もしかして、河童、なの?」 『そうや、たぶん、もっと凄いもんや、と思っとったやろ?』 「うん。嘘はつけないからね。私は貴方を神様とか、この世の中を創った人の一人かな、とか思ってた。」 『顔とか…みたいか?』 考えて私は首を横に振った。 『懸命やな、俺の事を知るとアンタはきついよ』 実際、頭の中が、真っ白になった。恐怖だった。これ以上、頭に何か詰め込まれたくない、という。 しかし、友だちの顔を知らなくていい、なんて随分、私は冷たい人間だと、思い、言い直そうとした瞬間、また彼がぎゅっと抱き締めた。 『何も言わなくてええよ。分かっとる。昨日は無理に一気に知識を与えたし、未来も覗いた。苦しいやろうな…。 あのな… 俺は必ず帰ってくるよ。』 「いつ?」 『嬉しいか?未来、お前は辛かったやろ?その辛さを全部忘れてしまったら、や』 「早くボケろ、ってこと」 『まぁそうや』 文句をいうまえに彼は早口で何かを言い残した。 意味はゆっくりとまるで思い出すように私に染み渡り、消えていった…。 さようなら、親友… その日を境に彼は消えた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!