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未定
…30分ほどたった。部屋に迎えに来たのは入谷少年ではなく使用人というよりメイドといった感じの活発そうな小柄な女性だった。年は、入谷少年ほどではないがまだ若く、20前のように見える。
案内されている途中の話では、彼女が彼を発見しここまで運んできたという。どこにそんな力があるのかと感心していると、
「慣れていますから。」
と、よくわからないことを言われた。
屋敷の中は思った以上に広く、薄暗い。外はもう夜なのか、暗くてよく見えなかったが、どうやら森に囲まれているようだ。
「こちらになります。」
案内されたのは食堂のようで、長いテーブルにはスプーンやフォーク等がならべられていた。
「旦那様は急用が入りまして。もうしばらく時間が掛るので、こちらで食事をして待っていただくように、と仰せつかっております。」
そう言うと彼女は、食事を運んで来ると言い残し、どこかへ消えてしまった。
「……はぁ。」
彼は、椅子に座り軽くため息を吐くと
「妙に静かな所だ。」
ふと思い浮かんだ疑問を口に出した。
確かに妙である。これだけ大きな屋敷であるのに人の居る気配がまるで無いのだ。
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