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「……う…くっ、…ん?」
彼は全身の痛みで目をさました。頭には包帯、他にも手当された跡がある。
「……?」
彼はまだ混乱している様子で部屋を見渡した。
そこは古い洋風の屋敷の客室のようで、彼はベッドの上に寝かされていたようだ。
辺りを見渡していると、コンコンと正面のドアがノックされた
「失礼します。」
軽く会釈をしながら執事風の男が入って来た。
若い、年は14、5くらいだろうか。あどけなさの残るその顔は、少年と言った方がしっくりくる。
「あ、目を覚まされましたか。良かった。」
心底安心した様子の少年に彼は疑問を投げ掛けた。
「あの、ここは一体?僕はどうしてここに?」
「覚えていませんか、貴方はこのお屋敷の近くの森に倒れていたんですよ。ひどい雨で土砂崩れがあったので様子を見に行った使用人が見つけここまで運んで手当てをさせていただきました。」
「土砂崩れ…」
足元が崩れ落ちる記憶が甦る。どうやらそれに巻き込まれたのは間違いないようだ。
「それと…」
少年は手にした革の手帳を差し出した。
「これは?」
「はい、貴方を見つけた時に握り締めていたものだと聞いています。他に荷物等は見掛けませんでした。それと…」
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