未定

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出会った人も、入谷少年とさっきのメイド、これから会うここの主人を加えても3人。食堂だというのに彼以外には誰も居ず、テーブルの食器も、もちろん彼の分しか用意されていない。 「まるで人が居ないような…」 「それは、本当に居ないからですよ。」 いきなり話しかけられ、驚いてそちらを見ると、先ほどのメイドが入口に立っていた。傍らには料理を乗せた銀のカートがある。どうやら料理を運んで来たらしい。 「本当に居ない、と言うと?」 「はい、只今この屋敷がある森に通じる唯一の橋が老朽化したため、工事する事になったので、暫く行き来できなくなる事になりました。そこで、最低限の人数だけを残して旦那様が使用人にお暇を出されたのです。今この屋敷には旦那様付きの使用人とシェフ、私を含めた数人しかおりません。」 だが、工事自体は昨日の大雨のせいで道が崩れて機械が通れず中止されているらしい。 「唯一と言うと、他に道は無いんですか?」 「はい、この森は周りを山に囲まれていまして、正面に面する橋だけが唯一の交通手段でした。山を登れば行けないこともないのですが車は通れませんし、徒歩で、ましてやその怪我では危険です。」 ということらしい。
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