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「白うさぎが?」
「あぁ…だが彼はとんでもない気まぐれな奴だからね…だから彼が素直に薬を分けてくれるとは思えないけどね」
ゼェゼェと時々口から血を流すチェシャ猫をひかりはギュッと強く抱きしめ
その顔には焦りの色が浮かんでいた
「…取りあえず逢うだけあってみないと」
「「誰に?」」
ふと横から聞こえた幼い二つの声にひかりは足を止め
声のした方に視線を向けるとそこにはクスクスと無邪気に笑いあっているヘンゼルとグレーテルの姿があった
「チェシャ猫ばっかりひかりに遊んで貰うなんて狡いわ」
「そうだよ…僕たちだってひかりと遊びたいのに…なのにひかりが遊んでくれないから」
「「この子と遊んでた(の)んだ」」
ドサッとゆう音と一緒にひかりの目の前に投げ捨てられたのは二匹の大型犬の死体
一匹の犬は内臓や大腸等を取り出され
もう一匹は爪や舌…それに目玉等がえぐり取られていた
「ウェ…ッ……ゴホッゴホッ」
そんな生き物としての機能を失った二匹の姿にひかりは込み上げて来た物を吐き出すと瞳からはポロポロと涙が流れていた
「なんで…何でこんな事するのっ!!!?」
「何で?…それをひかりが聞くの?」
不思議そうに言って来たヘンゼルに今度はひかりが問い掛けるとグレーテルがゆっくりと口を開き
「私達はひかりのしたい事をしてるだけよ?」
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