第1話_失われた日常

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ここはいちよう都内では有名な高校で他校の生徒ならまだしも…猫なんて絶対に入り込まない はず…なんだけどっ… でも…この猫はどー見ても普通じゃないっ!!! 少女はそおっと椅子から立ち上がり猫と距離をとるが 微かに感じる違和感に気付き 「あれっ……?」 周りに人が…いない? しかも目の前にいるのはこの変な猫だけっ? …それに 「理恵っ…理恵はっ?」 確か…私は理恵を待ってて… それで待ち疲れた私はつい眠っちゃって… 「理恵はいないよ?」 猫は首を回転させながら何事ま無いようにそう言い… ニンマリとした顔に奇妙な体は本当にチェシャ猫を思わせていた… 「先に帰っちゃったのかな?」 窓から差し込む日差しが教室を夕焼け色に染め もうすぐ日が沈もうとしていたころ 私の呟きに答えるかの様に猫はもう一度繰り返した。 「理恵は…いない…」 「…じ…じゃあ…私も…もう帰るから、じゃあね猫さん」 私は机の上の奇妙な猫を見据えたままゆっくりと机から離れ ギグシャクした動きでゆっくりとドアへと向かう 先生か用務員さんに言わなきゃ …変な猫がいるって!!! 教室の引き戸に手を掛けた所で 私は好奇心からつい後ろを振り向いてしまい 「っ!?…キャァァァァァァッ!!!!」 ドアップで見た猫の顔に私は驚くと引き戸に勢いよく背中をぶつけ… …猫の顔が私の目の前で何事もなかったかのように微笑んでいた… .
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