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「…それじゃあひかりは任せるわね、私は一足先にシャロルを連れて城に行ってるから」
「ああ…そいつを頼む」
白ウサギからチェシャ猫を受け取るとエレナは海の中へと姿を消し
暫くして白ウサギはひかりを抱き上げると海へと身を沈めて行った
「大丈夫ですよ…息をしても、彼女の涙の結晶の力があれば呼吸は愚か水圧にも耐えられますから」
「そうなんだ、…ねえ…改めて聞いて良いかしら」
「私達の事ですか?」
「そう」
腕の中から見上げると白うさぎは軽く眉を寄せながらも
何か決心をした様に静かに口を開いた
「契約については先程話した通りです…私達は君の父親である隆弘と血の契約を交わした…その契約内容はこの本の持ち主である隆弘の娘、つまりはひかりを守る事です」
「…私を?」
「えぇ、この本はいいえ…私達は貴女の為に作られたのですから」
私の為…?
確かに…白ウサギの言う事が本当なら
チェシャ猫が言っていた事も
意味がわかる
私がこの物語の主人公だって…
それはこの本が私の為に作られた本だからって事は
今ようやくわかった
「でも…それじゃあどうしてチェシャ猫は何も教えてくれなかったの?」
チェシャ猫は
白ウサギよりももっと早く私に出会ってたのに
「どうしていつも肝心な時には姿を消したのよ!!!」
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