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何の音もしなかったのに
いつのまに!?
…その前に…首しか…
「……な…ぃっ……」
私は戸にもたれ掛かるようにしてずるずるとしりもちをついた
顔だけしかない猫は
ただニンマリと笑いながら私を見つめている…
「なっ……ななな何なのよっ!?」
「僕はチェシャ猫だよ?」
「チェ…チェシャ猫っ?…チェシャ猫だったらさっきからのアナタの行動はわかるけど…そんなの有り得ないわっ!!!」
どこからか現れた下半身を頭の上に乗せながら語る猫に
ただただ私は首を左右に振っていた…
だって…そんなっ…
チェシャ猫は不思議の国のアリスの登場キャラクターで
実際にいるわけが無いっ…
「ひかり…本を出して?」
「…ほ…本?」
何で突然本なの?
…とゆうか私は教科書しか持ってな…い…
…っまさか…
「…これ…の事?」
私は鞄から一冊の古いお伽話の本を出すとチェシャ猫は器用に尻尾でページをめくって行き
とあるページでめくるのを止めた
「…シンデレラがどうかしたの?」
チェシャ猫がめくるのを止めたのはシンデレラが硝子の靴を魔法使いから貰う有名なシーン…
「…どうして…シンデレラが本の中にいないのっ!?」
そのシーンの中には硝子の靴を渡すお婆さんの姿がなく私は驚きながらチェシャ猫に問うとチェシャ猫はコクッ静かにと頷き
「ひかり…不思議の国のアリスの話を見てごらん…」
そう猫に言われ私は黙って
アリスの話を見てゆくと何処にもチェシャ猫の姿がなく…
「嘘っ…そんなっ…そんな事有り得ないっわっ!!!」
……チェシャ猫が
お伽話の中から現実世界へ来たなんてっ…
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