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それはとても悲しいことにあたしが死んでしまった朝の風景でした。 歯の欠けた浮浪者はいいました 僕には娘が七人いて みんないつも僕にべたべたなんだ 長女は今度結婚をするんだ 小田原に別荘があって専属のマッサージ師がいるんだ ベンツとカウンタックと他二台外車を持っているんだ 僕はお金には困っていないんだ 地震が各地で起こる度に寄付をするんだ ………………。 彼を見ました。 歯が欠け、擦り切れた靴をはいた浮浪者は言いました 僕はサンタクロースになってみんなにプレゼントをあげる夢をみたんだ 彼の後ろには、あたしが死んだ日の朝の風景がゆらりとみえました
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