お兄ちゃん

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最初は怖かった。 力が思い通りに使えず、度々暴走しがちになった。 一回だけ壁を破壊した時は結構焦った。 まあ、バレはしなかったが。 しかし、この力は皆を怖がらせる対象となってしまい、一人……また一人と友達は消えて、遂に私一人だけになってしまった。 正直、それはショックだった。 だけどまだ私には二人の兄弟がいた。 だから頑張れた。 しかし、この力を手に入れてからというと、どうも兄が頼りなく見え始めた。 最初は違うかと思ったが、次第に……それは……やっぱり本当だったみたいだ。 何故か受験生なのに私の方が勉強が出来る兄。 そんな訳で私は心を鬼にして(一回だけ兄は鬼ー!と叫んだとき、私は回し蹴りをおみまいした。そして文句は何一つ言わなくなったが、兄妹に溝が出来てしまった気がする。)ビシバシ兄を鍛え直した。 ……まあ、そんな甲斐は……………さらさら無くて、受け入れてくれたのはあの高校だけであった。 はっきり言って、高校に入れたのは奇跡……いや、そもそも筆記無かったなあの学校。 力さえあれば、あそこには入れたし……。 ……無かったらきっと兄は………いや、これは口に出すまい。 ちなみに兄は小学校の時に目覚めたらしい。 まあ地味な力だったのでバレはしなかったとのことだ。 まあ、手が器用になる力なんて地味すぎるしね。 だが、対して姉は何も無かった。 いや、色んな意味であの人は本当に何も無かった。 まず姉は友達を作ろうとせず、ずっと私たちといた。 、私たち兄妹としか遊びはしなかったのだ。 あと、姉は中学から人の顔を見ようとせずに、話をした。 たまにその行為にいらっときたが、姉の力をを知ってしまった今はそう思ったことを謝りたいくらいだ。 しかし、そんな姉も高校生から明るくなり、クラスでも中心の存在であった。 そして姉には好きな人も出来た。 さらに姉は明るくなり、私も喜んでたが、兄は怪訝な顔ばかりしていたのを覚えてる。 そう、思えばあの時からだ。 私たちの……私の人生の歯車が外れたのは。
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