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そして、いつしか春休みが終わり、姉が欠けた学校生活が、始まりを告げた。
そして、姉がいないまま、夏休み……一年が経とうとしていた。
そんな中、一人の先輩が兄さんのクラスに転入してきた。
先輩の名前は、結城皆人。
まるで女の子のような男の人だった。
どこら辺が、というとまあ色々あるが、性格だろう。
あそこまで人を憎もうとせず、皆と仲良くしようとする人も珍しい。
兄は席が隣だったせいか、すぐに二人は仲良くなった。
そして、彼には力が無いことを知った。
私たちにしてみれば、それは珍しいことだった。
なぜなら、あの学校には絶対に何らかの力を持った生徒しかいなかったからだ。
……まあ、何故か夏休みの間に力を手に入れていたが。
後、夏休み後にマオという人(?)もブレスレットという形で出会った。
どうやらある理由で魂だけの存在らしい。
力に関しては彼が知らないということは無いというくらい豊富な知識を持って、たまに皆人先輩の体を使って活動している。
二人の力はどちらも同じ箇所で、心だった。
主に心の力は心を読みとるリードというのが有名だが、二人はそれを使おうとはしない。
心の中を知るというのは、相手を全て知るという覚悟が無ければ使ってはだめらしい。
……リードというとある人を思い出す。
判孝太。
魔術部という奇妙な部活の部長だ。
兄さんはこの人をとても毛嫌いしていた。
彼にはリードの力があり、たまに人の心を覗くことがあったそうだ。
だけど、彼は心の力を持っていたのでは無かった。
彼は心の力を結晶化された宝石を持って、それを使っていただけだ。
そして、それを知った兄さんはそれを奪おうと文化祭の二日目行動に出た。
一歩誤れば、兄さんは判を殺していた。
だけどできなかった。
私たちの事情を知った皆人先輩が、助けてくれたから。
宝石も無事に取り戻し、マオさんが姉さんの体に返してくれた。
姉さんは、長い眠りから覚めたのだ。
一年という、長い眠りから。
そして、また三人の兄妹で、今度は兄さんの友達も一緒に楽しくやっていくはずだった。
そう、そうなるはずだったんだ……。
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