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「……はっ!」
その時、目が覚めた。
まず視界に飛び込んできたのは、村が焼けているシーンとかじゃなくて、真っ暗な天井だった。
「夢……か。」
僕はムクリとベッドから起き上がると、辺りを見渡す。
机には、いつも通り学人がくれたブレスレットが置いてある。
この中には人の魂が入っている。
名前はマオ。
マオはずっと前の過去の人間らしいけど、とある理由でこちらに魂だけ呼び出された。
今は、ブレスレットを器にしているけど、僕がそれを付けているのでたまに魂の交換を行い、僕の体を使わせている。
「……お茶飲みに行こ。」
僕は、自分の長い髪に気をつけながら、ベッドを下りる。
僕の髪は、いま腰の位置までくる位長い長髪だ。
さらに、外国人でも無いのに銀髪でもある。
僕だって、好きでこんなに長くしてる訳じゃないし、染めた訳でもない。
これもやっぱりマオの仕業、ってことらしい。
夏休み。この髪があまりにもうっとおしいので、床屋に髪を切りに行った時を、今でも覚えてる。
なんと、ハサミが見事に髪に負けたのだ。
つまり、切れないという不思議な現象が起きた。
これには、僕も店員さんもかなり驚いた。
そしてその後二人で苦笑い。
あの後、カツラで店員さんを騙してるんじゃないかって散々引っ張られた。
もちろん、髪は抜けて、元の黒髪が出てくるということは無かった。
ただ、僕が痛かっただけだ。
後でその事をマオに話したら、
「別にいいじゃん。お前、俺とお揃いだぜ。」
なんて言われた。
どうやらマオも銀髪の長髪だったらしい。
まあ、とにかく髪は邪魔になるので切れないとなると、髪をまとめるしか無かったので今は学校に行くときはポニーテールにしている。
まあ、今じゃ自然になってしまったのであまに気にもしないけど。
だけど、こんな髪をしてると、たまに女の子に見られるから少し困る。
この前もシンデレラとかやらされたし。
今思えばあれ、ほとんどノーメイクじゃん。
カツラなんてかぶってるようなもんだし。
つまり……僕は……。
はぁ……。
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