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翌日も僕は仕事をこなし、帰路についた。
昨日の内に子供達を教会に引き取ってもらった。教会へ行く途中、子供達にお土産を買ってあげようと思い立ち、道を外れ街の方へ向かう。
……人気の無い、寂れた通りを選ぶのは僕の修正なのだろうか。メインストリートを外れ、路地裏に入り込んでしまったようだ。
ふと、小さいショーウインドウのある建物が目についた。場違いなアンティークショップ。導かれるようにして店のドアを開ける。
「うぁ……」
小さく呻いた。
店内には人形から、柱時計、石像、シルバーのアクセサリー、宝石、タロット等のカード、何に使うか分からない石版などなどなど……とにかく怪しい商品がところせましと並んでいた。
「いらっしゃい」
声のした方向を向くと、黒のダービーハットとコートに身を包み、スティックを手にした、いかにも老紳士という様相の老人が座椅子に座っていた。
「何かお探しかね。君の様な純真な青年が探している物が、ここに在るとは思えないが」
「はぁ……ここは何の店なんでしょう?」
「君が最初に思った通り、ここでは骨董品を売っているよ。曰く付き、のだがね。物好きや偏屈者が買っていくような、ヘンテコなものしか売っていない」
……老人の言動もそうだが、極めて胡散臭かった。
とりあえず店内に視線を移し、買っていくものの選定をする。
が、見渡す限り不気味な上、用途が不明なものばかりで途方に暮れてしまう。
「あの……子供にあげるお土産になりそうなものはありませんか……?」
「ふむ、それならばあれはどうかね? ヴィジャ盤というものでね。まぁ……占いが出来ると考えてくれて良い。それが駄目ならあのペンダント。ヘキサグラム・オブ・ソロモンといって、魔除けの効果を持つと言われていてな……」
「いや……結構です」
何か嫌な予感がビンビン感じられるから。
絶対別の用途に使うものだ。交霊するとか悪魔を使役するとか。
僕が断ると老人は実に残念そうな顔をした。
老人の勧めを受けるのを諦め、僕は布製の人形を手に取った。愛嬌のある顔をしている。
「おお、お目が高い。それはヴードゥードールといって――」
「あ、説明は結構です、なんか怖いんで……」
老人の言葉を遮って、その人形と、その他にまだ可愛げのあるフランス人形を手に取った。
それを包装してもらい、袋に入れた。
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