殺人なき殺人事件

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 2004年6月18日アメリカ・テキサス州。田舎町のハイウェイから転落したと思われる車が炎上しているという通報が、通りかかったトラック運転手から入った。警察が現場に到着した時、すでに事故発生から数時間が経過していた。燃え尽きた車内には遺体があり、間もなく遺留品から運転手の身元がクレイトン・ダニエルズ(24歳)と割り出された。  彼にはモリーという妻(当時22歳)と、2人の幼い子供がいた。警察が訪れ、遺体から身元が判明できないためにモリーに遺留品の写真を見せた。すると彼女は、それがその日の朝に夫のクレイトンが履いていった靴だと証言し、それにより検死官はクレイトンの死亡を確認した。  近所でも評判の仲の良い夫婦だったため、モリーはひどく落ち込んだ。しかし友人たちが頻繁に訪れて慰めたこともあり、彼女は少しずつ元気を取り戻した。  そんなある日、モリーのもとにクレイトンの事故について話が聞きたいと、事故を捜査していたビル・タラマンテス捜査官から電話が入った。  事故当日、タラマンテス捜査官は事故現場にブレーキ痕がないことからだたの事故ではないと直感していた。
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