伝説のコーチ

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 さらに騒動は大きなり、マスコミもカーターに集まってきた。成績が上がるまで試合に出さないという方針は街中の話題になり、彼は嫌がらせを受けることもあった。さらに選手たちもカーターに反発した。  校長のヘイディ・ウイットモアはすぐに体育館の閉鎖を解くようにカーターに伝えた。彼女は、生徒たちが卒業後にどんな人生を送ることになるかわかっているはずだ、バスケットをやっている時が一番輝ける、それを奪う権利は誰にもない、と言った。  カーターはプロになるチャンスをうちの子から奪ったと怒る親たちと校長にこう答えた。生徒たちはプロになるどころか、卒業できる生徒もやっと半分。大学に行く者はほとんどいない。卒業した3人1人が逮捕され刑務所に行くのが現実だ。  30年前にカーターもこの学校に通っていたが、卒業後のチームメイトたちはその後、犯罪に手を染める者もいた。街で死ぬ者もいた。カーターはそんな現実を変えたかったのだ。
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