伝説のコーチ

5/8
前へ
/20ページ
次へ
 彼はこれまで、生徒たちに必要だと思ったから規律を教え込んだ。だかここで簡単なルールさえ守らなくてもいいと彼らに言えば、いずれ生徒たちは法を犯すようになる。カーターは生徒たちを刑務所に入れたくない。  彼らにとってバスケットをやっている時が人生の中で一番輝ける時だという人がいるが、彼らの人生はこの先も続く。カーターはそのすべてを輝くものにしたい、という強い思いを伝えた。  その後、体育館の閉鎖が解かれることになった。カーターには辞める覚悟はできていたが、彼の目に驚く現実が飛び込んだ。  閉鎖が解かれた体育館には机と椅子が運び込まれ、選手たちは勉強することにしたのだ。彼らはカーターの自分たちへの強い思いを理解し、最後までやり抜こう、そして自分たちの人生は自分で掴もうと思い新たにしていた。自らの意志で彼らは初めて動き出したが、まだカーターは選手たちを認めたわけではなかった。  それから連日、勉強会は開かれた。勉強のできる生徒ができない生徒に教えるなど、チームの間にバスケット以外でも連帯感が生まれた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加