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何分かずーっと私をだきしめつづけた筧。
なんだか抵抗する気なんか全然起きなくて
むしろ、心地よくて。
ちょっとだけ涙が出そうになった。
そのうち、先輩からの電話がプツッと前ぶれもなく切れた。
それが合図だったかのように、筧はいきなりスイッチ入ったみたいに私から離れると荷物をまとめ始めた。
「何やってんの?」
「帰る」
「なんで?」
「ついでに今日かぎりでカテキョもやめる。」
「かけい!!!」
「教え子に、しかも彼氏持ちに手出しても不毛なだけだしょ。」
扉の閉まる音が頭の中に鈍く響いた。
「・・・・・・。」
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