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手術中の赤いランプが灯る。
手術が始まって3時間くらい経ったのだろうか、赤いランプが消えた。
すると中から手術着姿の医師が出て来た。
医者『ご家族の方ですか?』
尚輝『はい、妹は…瑠璃は無事ですか?』
医者『頭を強打していたようですね。頭というのは傷の割に出血が多いんですよ。命に別状はないですよ。ただね…』
尚輝『ただ?』
医者『強打したせいで、記憶の一部に混乱がみられます。』
知ってる…
尚輝『え…あの、妹に会っても構いませんか!?』
医者『いいでしょう。状態も安定してますし。さ、こちらへ。』
コンコン
尚輝『入るぞ?』
真弥『…はい…』
カチャ…
そこには頭に包帯を巻かれ、弱々しく返事をする真弥の姿があった。
尚輝『真…いや、瑠璃、自分が誰だかわかる?』
真弥『…わからない…』
尚輝『じゃあ、俺が誰だかわかる?』
首を振る。
予想通りだ。
沈黙が続く…沈黙を先に破ったのは真弥、いや、瑠璃だった。
瑠璃『ナオ…ってなんだろう…』
え…まさか…
尚輝『それは俺だと思うよ。俺はナオキ、月岡尚輝だよ。』
瑠璃『あ…知ってる…ナオキ…』
尚輝『無理に思い出さなくていいよ。ゆっくりね。』
そう、まだ始まったばかりなのだから…
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