1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
私はその部屋にあった時計に目をやる。形は丸く学校にあるような時計だ。…ん?よく見ると目盛りが16まである…。16じゅうろく?普通は12だよね?しかも、その時計には針が、ない。
「一体、今何時…?」
「そうねぇ…だいたいねぇ…」
声が聞こえた。私じゃない他の誰かの。甘ったるい声が。でも周りには誰もいない。てゆうか私、声に出して言ってたんだ。
「今は、119362よぉ。」
「は!?」
それは時間…?
「あなたたちの世界の言葉で言えば、"おやつの時間が終わる頃"かしらぁ。」
それって3時頃?って…いやいやいやいや、今私声に出して何も言ってないから。残念!
「声に出さなくても、わかっちゃうんだから、仕方が無いのよぉ。」
「へ、へぇ…。」
じゃあ、声に出しても、出さなくても変わらないじゃん…。この部屋には私しかいないのだから、1人で喋ってるようで虚しくなるし。
「まだ、気付いてないのかしらぁ?ここに居るじゃなぁい。」
ど…どこに!?と、キョロキョロ辺りを見渡してみても誰もいる様子がない。透明人間デスカ?
「ここよぉ。と・け・い。」
フッと、あの変な時計を見ると、その隣に"何か"がいた。時計よりも小さい…人?髪の長い、ドレスを着た女の子?だがよく見ると、黒い羽が生えているではないか!あ…悪魔!?
「失礼ねぇ。時間の精よぉ。」
「へ…へぇ。」
その時間の精とか言うものは、時計の周りをパタパタと飛んでいる。
「あ…あの!」
「なぁにぃ?」
時間の精はニコニコしながら、こちらに近づいてきた。
「ここはどこなんですか?どうして私はここにいるんですか?私はこれからどうすればいいんですか?」
疑問に思っていたことを、聞いてみた。時間の精は、やはりニコニコしている。そして、答えた。
「私はなぁんにも、知らないわぁ。全てはあなたが決めることよぉ。」
そう言って時間の精は跡形もなく消えてしまった。時計と一緒に。
「はーぁ。また独りかぁー。」
声に出してみても、もう答えるものは何もイナイ。部屋を見渡す。ん…?
「窓が大きくなってる?」
最初のコメントを投稿しよう!