じかん

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
私はその部屋にあった時計に目をやる。形は丸く学校にあるような時計だ。…ん?よく見ると目盛りが16まである…。16じゅうろく?普通は12だよね?しかも、その時計には針が、ない。 「一体、今何時…?」 「そうねぇ…だいたいねぇ…」 声が聞こえた。私じゃない他の誰かの。甘ったるい声が。でも周りには誰もいない。てゆうか私、声に出して言ってたんだ。 「今は、119362よぉ。」 「は!?」 それは時間…? 「あなたたちの世界の言葉で言えば、"おやつの時間が終わる頃"かしらぁ。」 それって3時頃?って…いやいやいやいや、今私声に出して何も言ってないから。残念! 「声に出さなくても、わかっちゃうんだから、仕方が無いのよぉ。」 「へ、へぇ…。」 じゃあ、声に出しても、出さなくても変わらないじゃん…。この部屋には私しかいないのだから、1人で喋ってるようで虚しくなるし。 「まだ、気付いてないのかしらぁ?ここに居るじゃなぁい。」 ど…どこに!?と、キョロキョロ辺りを見渡してみても誰もいる様子がない。透明人間デスカ? 「ここよぉ。と・け・い。」 フッと、あの変な時計を見ると、その隣に"何か"がいた。時計よりも小さい…人?髪の長い、ドレスを着た女の子?だがよく見ると、黒い羽が生えているではないか!あ…悪魔!? 「失礼ねぇ。時間の精よぉ。」 「へ…へぇ。」 その時間の精とか言うものは、時計の周りをパタパタと飛んでいる。 「あ…あの!」 「なぁにぃ?」 時間の精はニコニコしながら、こちらに近づいてきた。 「ここはどこなんですか?どうして私はここにいるんですか?私はこれからどうすればいいんですか?」 疑問に思っていたことを、聞いてみた。時間の精は、やはりニコニコしている。そして、答えた。 「私はなぁんにも、知らないわぁ。全てはあなたが決めることよぉ。」 そう言って時間の精は跡形もなく消えてしまった。時計と一緒に。 「はーぁ。また独りかぁー。」 声に出してみても、もう答えるものは何もイナイ。部屋を見渡す。ん…? 「窓が大きくなってる?」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!