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「…どうしたぁ?」
「り、禀…」
何かを言いかけて、口をつぐんだ。
一体どうしたんだろ?
私は然程気に留めずに、弁当箱の蓋を閉める。
「ふひーお腹いっぱい!」
弁当箱をしまい、いまだ微妙な表情をしている親友に首を傾げる。
「ねぇっどうしたのってば。いきなり変だよ」
「いや、その…」
おどおどと視線を泳がせる様子を見て、私はピンときた。
「あっわかった!須川君の事好きなんでしょ!」
「はぁ!?」
フフン、と鼻をならしからかうように視線を送る。
いやぁ、親友の恋見つけちゃうと何かワクワクするね!!
「で?どこに惚れたの?だらしないとこ?
須川君だらしないよね!制服ちゃんと着ないし。
遅刻魔だし!
極めつけはむっちゃ怖い!何かカッコいいって騒がれてるけど…須川君の笑顔は私から見れば般若だよ、般若。
アレは般若に見えちゃうよ」
うんうん、と頷きながら今まで見た須川君の笑顔を思い浮かべる。
ゾクッと鳥肌が立った。
怖い、怖すぎる。
気づけば目の前の親友は何か哀れむような目で私を見ていた。不思議に思い、声をかけようとした時。
ポンッと肩に手が置かれ、振り向く前に低い声が降ってきた。
「…中崎…ちょっと付き合え?」
…般若だ。
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