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「遅刻魔で?怖くて?般若?」
「いっ…いた…」
ギリ、と髪を掴む手に力が入る。痛みに顔を歪め、須川君を見つめる。
「こわい、不良さん?」
ふ、と私の額に須川君の額が当たる。
目に映るは、須川の瞳。
顔をそらしたくても、髪を掴まれて叶わない。私はぎゅっと目を瞑った。
「それは一体誰の事だ?」
言われ、何も言わずにただ真っ暗な視界を保ち続ける。見えない須川君が怖くて、体は小刻みに震える。
「答えろよ」
聞こえた言葉は冷たくて。
「う、や…いた」
また髪を引っ張られて、痛みを訴えるも、須川君は無視するばかり。
その時、額の熱が離れるのを感じた。
須川君が顔を離したのだろう。ただ、髪を掴む手は緩む事はなかった。
「俺の好みが?髪染めて、ピアス開けて?
バリバリメイクしてて?
意味がないくらい短いスカート履いた奴?」
一言一言言葉がつむがれる度に髪を掴む手の力は強くなるばかり。
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