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「チッ」
男は小さく舌打ちをした。
「・・・畜生」
ぼそりと呟き、前方を睨む。
それからしばらく、
歩いて。
歩いて。
歩いて。
歩いて。
歩いて。
歩いた。
(・・・今から何処へ向かおうか)
そう思っていた。
その時。
「・・・・?」
男は自分の鼻孔に、妙な香りを感じた。
異臭がする。
ツンとする刺激と、ドロリとした甘い緩和が混じった異臭だ。
「・・・・何だ?」
何もない荒野。
何も存在しない、ただの場所。
なのに。
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