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「・・・臭せェ」
男は思わず、鼻にシワを寄せた。
(何だよ・・・この匂いは・・・)
男はその香りが、自分の前方から流れてくる事に気が付いた。
「・・・・・・」
男の中で、好奇心が騒ぎ出す。
元々、そんな性質(タチ)なのだ。
気になったら、止められない。
確かめたくなった。
男は早足で、その香りを辿った。
道行く先、だんだんと異臭は強さを増した。
男は進むのに、手で鼻を覆わなければならなくなった。
ふと、気が付くと、道のあちこちにゴミが落ちているのが目に入った。
それも、歩く分だけ、量が・・・。
「何だぁ?」
男は足にまとわりついた汚れた紙袋を蹴飛ばし、眉をひそめる。
と、顔を上げた。
「・・・・・・」
言葉を失った。
男の視線の先には。
巨大なゴミの山があった。
車の古いタイヤ。
画面にヒビの入った、大型のテレビ。
あちこちが傷んで、配線が飛び出したコンポ。
その他にも、色々な物がうず高く積み上げられていた。
あらゆる生活用品の残骸、成れの果て。
ボロボロになり、汚れた物体。
それが、『異臭』の正体だった。
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