23人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・すげぇ」
男はそう漏らした。
そして、ニヤリとほくそ笑む。
「ここなら・・・」
男はゆっくりと、自分の顎を一撫でし、ゴミの山へ足を踏み入れた。
ガラガラ・・・・。
ガラガラ・・・・。
男が歩く度に、積まれていたゴミが音を立てて崩れ落ちる。
(それにしても)
男は自分の頭上より高い、ゴミの山を見上げた。
これだけの量の廃棄物を、人は常に排出しているのか。
使えなくなった物、必要のない物。
その塊。
「・・・・・・」
男は少しの間、その場に立ち止まり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また歩いた。
「?」
歩いてから、しばし、時間が経った時。
男の視界に、光が映った。
闇の中、ゴミの中。
小さな明かりがポツンと揺らいでいたのだ。
「・・・・人・・・・・・・・・か?」
男は手で、自分の腹に触れる。
そこにある『荷物』だけが、男の唯一の所有物だった。
男は慎重に進んだ。
だんだん、明かりが近付いてくる。
最初のコメントを投稿しよう!