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あれから5年―
桜並木が揺れてる…
舞散る花びらが少し淋しい。
『愛海➰ごめん。待った?』
大きなお腹をした沙恵が、歩きづらそうに歩いてくる。
『大丈夫なの?』
『うん。お医者さんから体重増えすぎだって怒られてるのよ。』
いたずらな顔で笑う沙恵は何も変わらない。
沙恵は会社の先輩と結婚して、今は専業主婦。お腹には、8ヵ月になる赤ちゃんがいる。
『そぅそぅ。隆くん、こっちに戻ってるらしいよ。』
『そぅなの?…連絡なしだょ。帰ってるなら📱くらいしなさいってかんじだよね!』
―嘘をついた―
ほんとは、隆が帰ってきたの知ってる。
2週間前…
📱が鳴った。知らない番号。
『はぃ…どなたですか?』
『愛海…だよね。元気?』
懐かしい声。胸がキュンとなった。
『逢いたい…』
涙がこぼれた。
『俺も…。』
私は彼がずっと忘れられなかった。
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