†対面†

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何で人間にはいくつも言葉があるんだろう。 もしバベルの塔…という神話の授業で習った話が本当で、神の怒りに触れ、私達が違う言葉を話すようになり、くしくも言葉が通じる同士に別れたとして。 今……同じ言葉を話す同士、普通に会話しても、同じ言葉で話している筈なのに誰一人としてちゃんと伝わらないのは何故だろう。 やはり私は宇宙人なんだろうか。 同期の間でのあだ名が『サイコ』にならないだけありがたい事である。 多少、世間の荒波に強くなったと思えばいくぶん楽でもあったし、1人だなんて今更なので今は目の前にある愛しのクラブサンドに集中するのみだ。 「美味しそうだね」 「でしょう、食堂のご飯よりここの方が…………」 そこまで言って私は硬直した。 そしてだいぶ迷ってから顔をあげる。 向かいの席に窮屈そうに座る男………長すぎた脚は椅子に座る為に折っているが、膝がテーブルのふちまで届いている。 忘れる筈がない。 眠れずにいた原因の根源である。  
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