†序章†

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きっとみんな違う星から来た《宇宙人》に違いない。 少なくとも私はそう思っている。 そして出来るなら自分も別の星から来た宇宙人が良い。 それなら自分に対して納得がいくし、ある程度この悩みから浮かばれる気がしたからだ。 私、瑠璃(るり)は今日もまた変な物を見た。 目の前の、…そう例えばぎゅうぎゅう詰めになった帰宅ラッシュの電車中から見える窓の外の風景だ。 夕暮れの赤い空… 日が暮れる頃になると私は何故かわくわくする。 夜の静寂が好きなのだ。 だからこの時間は帰りの電車で混み合っていてもとても穏やかな気持ちになれた。 ひしめき合う窮屈な人ですらこの時は背景の一つに過ぎない。 似た形の建物の群… 流れる様に通り過ぎる電柱… そして 窓のガラスに張り付いた、 『人間の頭のついた虫』。 ……悪い冗談などではない。 虫と行っても10cmはある大きな虫だから頭が人間のそれだとすぐに分かった。 体は毒々しい紫色でバッタに似ているんじゃないかと思う。 そして、当たり前の様に首から上はバッタではなく成人女性の首である。
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